日豊線での思い出 3

 大分では「一村一品運動」を掲げ農村の活性化を図っていた。
その関係で農家のお年寄りに生きがいを、という事で各家庭でキノコを育てる。
それをお年寄りが袋に詰め、真空パックするのだ。
真空包装機は子供の机位の物で価格は100万円程。
しかし7軒分、すなわち7台を農協がまとめて買ってくれる。
操作説明は一軒の家に全員が集まるので、そこで行うという事となる。
7軒をすべて廻っていれば1日では済まない。
これは有難い、と昼一番に選ばれたお家に訪問。
するとお菓子やコーヒーのおもてなし。
そろそろ説明を、と催促しても、のんびりとコーヒーのお替りを入れてくれた。
孫の話などで盛り上がっているのだ。
たっぷりと砂糖が入ったコーヒーだったのを今でも思い出す。
砂糖が有難い時代の方々なのだろう。ブラックを呑みなれている私には2杯目はさすがに
全部は飲めなかった。
「それでは全員揃ったのでお願いします」と言われ機械の操作、
真空ポンプのオイル交換等の説明を終えたのは夕方だった。
 日豊線沿いは大体がこの調子でノンビリしている、人情も穏やかである。
これで生きていけるのだから羨ましい。
40年以上も昔の思い出にホンノリしながら宮崎にやっと到着。
ホテルにチェックイン、食欲と共に喉の渇きを覚える。
無事到着を感謝しながら一人、ゆっくりとビールを味わう。