せきめん

 「国家と石綿」 (株)現代書館 著者は毎日新聞記者を経たルポライター永尾俊彦。
石綿をセキメンと読むとは知らなかった、勿論イシワタでも良いらしい、
横文字ではアスベスト。
 大阪の泉南地区がこの石綿の一大生産地とは…。
戦前から防衛産業を支え戦後も高度成長を縁の下より支えた。
その挙句大勢の被害者を生んだ。
被害者の多くが虐げられた人々が多く国家より見放されたとの内容だ。
被害者の病状、生活状態等が懇切丁寧に書かれ本当に嫌になる程である。
特に私と同年配、昭和17年前後生まれが多く、その人生の惨めさに堪えるのである。
 その地は、私が繊維機械メーカーに勤めていたころ(昭和40~50年)
何度か仕事で訪れたが、こんな悲惨な地域とは気付かなかった。
科学が進歩し日々便利な生活を送れる陰に格差社会が生まれる。
そんな事を考えると、健康な我が身を有難く思い、
少々の不足は我慢我慢と思える本である。