車中でホンワリ

 大阪環状線で大阪から鶴橋に向かう。朝8時ごろ土曜日と言う事で割合空いている。
一番庶民的な大阪らしい雰囲気が漂う中、向かい側に何とも退屈そうな顔をした男と女が座っている。男は60才位、女は80才位かな。
本を読みながらぼんやりと観察していると、次の駅で子連れの母親がその二人の間に座る、子供はまだ一歳位か。
すると80才の女性の表情がにわかに変わり、幼児に何やら話かける。
幼児は勿論会話は無理、知らん顔している。
それでも80才の顔が20位若返った様になる。
なにやらカバンの中をごそごそと探っている、大阪のおばちゃん定番の「あめちゃん」はまだ早いとみていると、手のひら位の小さな団扇を取出し、優しく煽ぎながらやはり話しかけている。次の駅で残念そうに、それでも活き活きと下車して行った。
読書はすっかり忘れてそれを眺めていた私も、きっとにやけていたのだろう。
孫のお蔭で幸福な人生を送れる事に感謝、感謝。